《 某ホテルにて 》 ※ガッツリBLです。P3主→夢主的な。
何か忘れてる気がする。 …っていうか、ずっとそうなんだけど。 自分のことも忘れてるんだしなあ、俺。 って、そうじゃなくて。 「?、どうかしたのか?」 色々考えていたら、訝しげな顔で奏が話しかけてきた。 考え事をしてたのが顔に出てたんだろうか。 「んー、いや、いつものやつ。」 「ああ、何か忘れてる気がーって言ってたやつか。」 「うん。なぁんか、今思い出さないとロクなことにならないようなそんな気がするんだけど…なんだったっけなぁ…。」 うーん、本当になんだったっけ。 今のうちに思い出さないといけないって妙な圧力?を感じるんだけど…。 うう、覚えてる俺、一体何が言いたいんだ…。 「あれ?ちょ、ちょっと、ドア開かない!」 「…まさか、もう一体居るのか!?」 あれ? なんか、こんな風景、見たこと…。 『さっきの気配で隠れていたようです!どこかに仕掛けがあるはず…!』 風花の声にあたりを見渡す。 と、何故か鏡が目に入った。 「…あれ?この鏡、何か…。」 ゆかりが何か言いかけた瞬間、視界がぐにゃりと曲がっていくのを感じた。 「…あぁああ!思い出し…!!」 その瞬間、俺はここで起こることを思い出し、しかし何の抵抗も出来ないまま意識を沈ませたのだった。 「…ぅ…。」 頭が重い。 ゆるく頭を振ると、少しだけ視界がはっきりしてきた。 「…?」 ここ、どこだっけ…? なんで、俺…寝てた、んだろう…? はっきりしない頭でそんなことをつらつらと考える。 「…、」 ぼう、とした視界の中で、奏の顔が近づいてくるのが見えた。 「かな、」 で、と名前を呼ぶはずだった口が、奏の口で塞がれる。 「ん…ッ」 不思議と、イヤだとは想わなかった。 けれど。 そこで、不意に俺の意識がはっきりとしてきた。 「…んん…ッ!?」 とはいえこんな状況で意識が戻られてもどうしようもない。 ていうかなんでこいつこんなにキスが上手いんだぁあああ! 「っふ、ぁ…、か、なで、ちょ、待っ…!」 「…何?今更やめるとかダメだって言ったでしょ?」 え?言ったっけ?てか意識戻ったのついさっきなんだからそんなの言われてもわかるわけがない。 えぇえええどうしようとか思ってたら、奏の手は器用にも片手で俺の服をどんどんと脱がしていく。 「か、奏、正気に戻れ!これはラヴァーズのシャドウが…ひゃっ!?」 ちょ、ま、待て、つーか待つのは俺だ!? な、なななななにいまのこえっ 思わず真っ赤になって固まってしまう。 「…可愛いな、。」 「っうれ、しくな…っん、っ」 奏の唇が俺の首筋に跡をつけていく痛みに、ゾクっとして思わず身体を震わせる。 あれ、ちょっと待て。俺の"記憶"だと、確か正気に戻れば風花からの通信が聞こえるはずなんだけど。 なんとか奏を俺の身体から引き離そうと頑張りながら耳を済ませてみるけれど、何故か風花の通信は聞こえてこなかった。 他の人の方に先に話しかけてるんだろうか。 風花はその、通信先の状況も見えるというか感じ取る?らしいから、こんな男二人でベッドに居る様子なんてとてもじゃないが見せられない。もし見られたら今後風花に微妙な目で見られること間違いなしだ! 「、考え事?…面白くないな、今は俺だけ見てなよ。」 「そ、いうのは頼むから好きな子に言ってくれって…っぅむ…!?」 しっかりシャドウの洗脳?に掛かってしまっているらしい奏が、やたら熱っぽく明らかに欲情した目で俺に言う。 その台詞に俺が至極当然のことを言ったら、またキスされた。 しかもさっきより深い。って、あ、だだダメだ、って…! 「んん…ッ、ふぁ、っん…っ」 やばい、気持ち良い、かも、しれない。 意識がまたぼうっとする。さっきの洗脳状態じゃないのに、俺、なんで…。 息苦しさか、俺の羞恥心が臨界点を突破したのか、俺の目からは生理的に涙がこぼれていた。 「っかな、で…、」 「…ッ、…………!………!?」 口付けの合間に、静止の意味で名前を呼べば、奏はぴくりと反応を返し、俺から唇を離した。 きょとん、とした表情。 あれ、こいつ、もしかして…――― 俺が、それに思い至るのと、奏が状況を把握して真っ赤に染まったのは同時だった。 「ご、ごごごごごごごごごめん!!!」 「はぁ…奏、正気に、戻った、のか?」 ぼふん、とベッドに沈み込んだが、乱れた息を整えながらこちらを見る。 頬はまだ上気していて、涙に潤んだ目は、その、凄く扇情的、だ。 さっきまで、俺が、その…キスしたり触ったりしたせいで、の服も肌蹴ていて、正直堪りません。 俺がそんなことを考えているとは思いつきもしないだろうは、やっぱり真っ白で綺麗に、だけど少し頬を赤らめて疲れたように微笑んだ。 「良かった…さすがに、貞操の危機を覚えた…。」 さっきの状況の場合、が奪われるのは貞操じゃなくてしょj…げふん、ごほん、いけない、俺としたことが状況に流されて思考が正常化していないらしい。 もったいないことしたとか、思ってない。ご馳走様、とは思ったけど。 『リーダー、リーダー!』 「あ…風花か?」 『あっ、やっと繋がった!えっと、…ぶ、無事ですかっ!?』 ほっとしたあと、どう聞いたものかといわんばかりの風花の言葉に、俺はと目を合わせ、思わず噴出した。 どうやら、他の面子もシャドウの洗脳?のようなものを受けて風花の通信が妨害されてしまっていたらしい。 「ああ、無事だよ。心配するな。」 『よ、良かったぁ…さっき、順平くんが、その…瀕死状態になっちゃってて、リーダー達のこと心配だったんです。』 「瀕死!?」 ベッドに沈んだままのが、びっくりしたように声を上げる。 それは俺も同じで、風花の次の言葉を待った。 『えっと、その…、ゆ、ゆかりちゃんに…すごく、クリティカルなのをたくさんもらったみたいで…。』 非常に気まずそうに言う風花の言葉に、俺は状況を理解した。 「…俺、と一緒でよかった…本当良かった…。」 「か、奏…。」 ゆかりっちと一緒に居たら、俺もきっと半殺しにされていたんだろう。 そう思えば、美味しい思いも出来てみたことない艶姿まで見れていい事尽くめのと一緒で非常に良かった。 はゆかりっちと一緒だった順平を思ってか、苦笑を浮かべていたけれど。 『えっと、その上の階にゆかりちゃんたちが居るので、合流お願いします。』 「わかった。俺たちもすぐに行く。」 そう応えれば、風花からの通信は切れた。 ふう、と息をついて、俺はベッドのに向き直る。 「?…、どうした?」 「あ、いや、えっと…。」 とりあえずベッドから半身を起こした状態で固まっていたに声を掛ければ、はなんだか気まずい様子で頬を赤らめて視線を俺から逸らした。 う、何気にショックだ。やっぱり男にキスされて脱がされたりしたんだから仕方ないかもしれないけど、俺はが好きなので凄くショックだ。 「その…本当に、ごめん。俺、の気持ちも考えないで…。」 「え?あ、いや、えっと、それはシャドウのせいなんだし、仕方ないよ。」 俺が内心落ち込みながら謝れば、は思っても見ないことを言われたといわんばかりにきょとんとしたあと、慌てたように首を振った。 …いや、気にしなさすぎても、それはそれで困るというか、なんというか。 そんなことを考えながらを見る。頬が赤い。心なしか困ったような表情をしている。 うー、とか、あー、とか唸ったあと。 は観念したようにぎゅっと目を瞑って、それから俺を見た。 「…ごめん、腰が抜けて立てない。」 「………え?」 予想外の言葉を聴いた俺は、柄にもなく間抜けな声を上げていた。 俺の間抜けな声を聞いて、はますます顔を紅くする。 「だ、だって、お前、なんか異常なくらいキス上手いし…!し、仕方ないだろっ!」 「え、あ、えっと…ご、ごめんなさい。」 だって早くのえっちい顔とか、見たかったし。を気持ちよくさせてあげたかったし。 俺も洗脳されてたのに大概のこと好きだよな、とは心の中だけに留めておくことにした。 「…多分、一回立てれば、大丈夫だと思う…悪い、少し手ぇ貸してくれ。」 「あ、うん。」 恥ずかしそうなの言葉に頷いて、俺はの差し出してきた手を引いた。 それは別に意図したものじゃなかった。 「わ、っと…!?」 少し引いた力が強すぎたのか、はバランスを崩して俺の方に倒れこんできた。 よりは多少力の強い俺がに押し倒されるはずはなく、俺はを抱きとめる格好で止まった。 「だ、大丈夫、か?」 「俺は、平気。…こそ、その…立てそう、か?」 「……うん。」 俺の言葉に、は顔を真っ赤にして、小さく頷いた。可愛いなあ、と思う。 「くそ…一生の不覚だ…まさか腰抜かすなんて…!」 「え、ええと…ご馳走様でした?」 ぶちぶちと、男としてのプライドが傷付けられたのか若干涙目で呟くに、どう応えたものかと考え、出てきた言葉はそれだった。 はびっくりしたように目を見開き、それを見た俺が、「あ、しまったうっかり本音が」とか思っていたら、はう、とか、あ、とか言葉にならない言葉を呻いて。 「…お、そまつさまでし、た…?」 と、真っ赤なまま返してくれた。 そのすぐあとに「って、つられて何を言ってる俺!しっかりしろ!」とか一人で呟いていたけど。 うわ、ちょっと、その反応は結構反則だよ…。 ああもう、今回ばかりは大型シャドウにも感謝しなきゃだな! 「今回ばかりは大型シャドウ許すまじ、よ!!」 ゆかりっちは順平と一緒になってしまったらしく、おそらく、その、"記憶"の通り、シャワーシーンなんてあったんだろう。 そうじゃなきゃ順平がこんな傷こさえておびえてない。 「うぅ…俺、俺何もしてねぇのに…」 「じゅ、順平…その、ほら、きっとそのうち良いことあるよ…。」 ゆかりっちと十分距離を持って離れている順平は、キノコが生えてきそうなくらいジメジメしていた。 ゆかりっちはシャドウに対する怒りで燃えている。 我らがリーダーは、と言うと、なにやら満足そうに笑っていた。正直怖い。 と、何気なくみんなの様子を見ていたら、リーダー、こと奏と視線がばっちり合ってしまった。 「?」 きょとん、としてこちらを見る奏の唇が目に入って、瞬間的に頬に熱が上がり、ばっ、と視線を逸らす。 うう、腰抜かすとか、もう…恥だ。赤っ恥だ。 だ、大体なんであいつあんなにキスが上手いんだよ?おかしくないか? …もしかしてこの世界の人ってみんなそう、なんだろうか。 いや、そんなはずないよな。ゆかりっちだって、その、シャワーシーン見られたくらいであんな暴挙に出るくらいなんだし。 俺が明後日の方向を見ながらそんなことをつらつらと考えていると、ふと、隣を歩いていた順平が不思議そうにこちらに視線を向けた。 「あれ?、お前首筋…、………」 「え?」 順平が俺の首筋を指差して何か言おうとして、それから「あ」と何かに思い至ったように固まった。 俺はきょとんとして順平を見る。 なんか、紅くなって青くなって、「え、いや、でもまさか…」などとブツブツ言っているのが聞こえた。 「くびすじ…?」 はて、と自分の首筋に手を当ててみる。 特になにも…、………くび、すじ? 「〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」 思い至って、俺はぼっと顔が赤くなるのを感じた。 首筋って、首筋って…! そ、そういえばさっき思いっきりキスマークとかつけられてた気がする! 「?、順平、どうしたんだ?ゆかりっち行っちゃうぞ。」 「あ、ああ…」 「っっか、奏のせいだばかぁあああああああああああ!!」 俺は思わず涙目でそう叫んで、勢い込んで先へと進んでいたゆかりっちの方へ走った。 うわあああん順平に知られた!ばか!奏のバカ! そんなことを心の中で叫びながら。 「…え、なに、え?」 「…お前…に手ぇ出したんだろ…。」 「いや、手は出してないよ?まだ。」 「まだ、ってなんだまだって。つーか、…キスマークが首筋に残ってた。」 「……ああ、だからか。洗脳中の俺、ナイス。」 「って、そういう問題じゃねーだろっ!?」 俺が去った後、二人がそんな会話をしているなどとは露とも思わずに。 こんなガッツリしたBLをネットに上げたのは初めてだということにテキスト変換作業中に気付いて恥ずかしさにもだえました。 き、気にしない!気にしない! 夢主は天然です。P3主は洗脳が解けた後は確信犯です。 |