《 喚ぶ者と応える者 》



そのとき私は、ただいつものように眠っていただけだった。

ついこの間まで、どこから情報をかぎつけてきたのか血気盛んな若者どもの相手をさせられていたのだ。
当然全て殲滅してやったが。
私は面倒ごとが好きではないのだ。
悪魔という生き物はどうしてこうも人の邪魔をするのが好きなのだろう。
私も悪魔だろう、という指摘は聞かないことにしている。仕方ないだろう、気付いたらこうなっていたのだから。

もっとも、この悪魔らしからぬ性質のせいで天使からは余り嫌われてはいないようなので良しとする。

天使らの潔白さは正直気持ち悪いのだが、視界に入れたくもないというような嫌悪の視線を向けられることがないのことには感謝せざるを得ない。
嫌われるだけなら良いのだがあの嫌悪の視線は悪魔でも痛いものがあるんじゃないんだろうか。そりゃ、負の感情は美味しいけれど、感情と視線は違うのだ。少なくとも自分にとっては。

そういえば、最近殲滅のと狂嵐のを見かけないな、と。

そんなことを寝入りそうになる頭でうつらうつらと考えていたせいなのだろうか。
不意に、淡い光が私の体を包んでいった。

「…これは…。」

ここ最近全く体験していなかった、召喚の光だ。
人が寝入ろうとしているときに、なんと無粋な。

引き裂いてやろうか。

思って、少し力を込めれば、召喚主であろう相手が痛みに呻くのを感じた。

ふん、いい気味だ。そのまま命を散らしてしまえ。
私の睡眠を邪魔するなどという罪、その命で払ってもらおう。

もう一度力を込めれば死ぬか。
そう思い、力を入れようとして。

「…―――?」

ふと、何か、知っているような感覚を覚えた。

「…知り合いだったか…?」

首を傾げるが、ニンゲンのことを覚えているはずがない。

「…まあ知らんかったら殺せばいいか。」

別に自分ひとりでも扉は開けるからな。
そう一人ごちて。

私は引き裂くために練っていた力を、今度は逆に私をそちらへと呼び込む手助けをするために使った。











こんな感じの主人公。
悪魔っぽく、かつ悪魔らしくなく、と考えてたらこんな感じになりました。

文中の「自分ひとりでも扉は〜」は、主人公のみ使えるものなので、普通の召喚獣達は使えません。使えないからこそ、嫌々召喚師に従ってるんですけどね。