《 触覚双子の帰還 》
「そういやお前さん、ハサハとマグナとは一緒に居ないのか?」 「護衛獣と言っても、常に一緒に居るわけではない。この街は聖王都の首都なのだから、早々危機に見舞われることは…、」 「ん?どうした?」 不意に言葉を途切れさせた私を不思議に思ったのか、フォルテは怪訝そうにこちらを見た。 「…おい、あれは知り合いか?」 支えあうようにして歩いてくる二人のニンゲンの方を示せば、フォルテは驚いたように声をあげ、彼らに近づいていった。 …どうやら面倒なことになりそうだ。 「お前ら!良かった、無事だったんだな!」 「あなたは…、良かった、貴方方も無事だったんですね…。」 「あんな奴、お前らの中に居たか?」 前髪の赤い男の言葉に、フォルテは二人を支えながらこちらを振り返った。 「ああ、逃げる時にマグナが召喚したんだ。おーい、!ちっと手伝ってくれ。」 「…今の私の姿でお前は一体なにを手伝えというんだ?」 「…確かに身長たりねぇな。」 フォルテの言葉に、私はため息をひとつつき、霊界へ呼びかける。 「来い、グリムゥ。」 呼びかけで現れたグリムゥは私に一礼すると、命令を待つようにこちらを見つめる。 私はフォルテの支えているとは逆のほうの肩を指差す。 「そこのニンゲンを支えて来い。行き先は…この緑髪の男が案内する。着いたら戻って構わん。」 私の言葉にグリムゥは赤い髪の男を支えつつ頷いた。 それを確認して、私はフォルテに話しかける。 「おい、私は先に戻ってマグナ達を屋敷へ連れてくるからな。」 「ああ、わかった、助かったぜ!」 フォルテの声には軽く手を振って答え、私はマグナの気配を辿ることにした。 「あ、!」 マグナの気配を追ってしばらく。 湖の方面から声がして、私がそちらを見ると、どうやらマグナは無事聖女と話をすることが出来たようだ。 「、ありがとな。」 「私は別に何もしていない。マグナ、お前達の知り合いが来たようだぞ。」 「え?俺達の…?」 「ああ、私は知らない相手だが…緑の冒険者が知っている様子だった。おそらくは聖女の関係者だろう。」 そう言うと、私は聖女を見た。 聖女は驚いたように私を見ている。 「!それって、えっと、どんな人だったかわかるか!?」 「ああ、前髪が青いニンゲンと赤いニンゲンの二人だ。今頃は屋敷に着いているだろう。」 「ロッカ、リューグ…!」 「それと…、」 言おうとして、考える。 「それと?」 「いや、おそらく防ぐことは出来んだろうから言っても無駄だろう。それより、屋敷へ戻らないで良いのか?」 「あ、そっか、早く戻ろう、アメル!」 「はいっ!」 元気良く駆け出していく二人の後ろを、私は普通に歩いてついていく。 どの道行く場所はわかっているのだから、見失う心配はない。 「…とは言え、面倒ごとは間もなくであろうな。」 身も蓋もないタイトルですね。 夢主に人名を出させないでなるべく自然に話させるのが辛くなってきました\(^o^)/ |