《 嵐の前の邂逅 》



とん、と軽くぶつかったのは、果たしてどちらからだったのか。

「っと、すまない、」
「いや…。」
「…召喚獣?」

驚いたような、怪訝そうな色の声に顔を上げると、金髪の……男…だろう、多分、が私を見下ろしていた。
その視線に私は首を傾げて、ああ、と頷く。

「召喚獣は珍しいか?」
「あ、いや…そういうわけではないが…すまない、不躾だったな。」
「気にすることはない。珍しげな視線には慣れている。」

私がそういうと、その男はなんともいえないような表情を浮かべる。
おかしな男だ。
血の臭いを纏っていながら、そのような表情を浮かべるなど。

「君は…、召喚主はどうしたんだ?はぐれたのか?」
「いや、先に戻っているだけだ。私はこれで失礼しよう。」
「ああ、引き止めてすまない。」

すれ違い様、ふわり、と見知った気配を感じて、私は足を止めて振り返る。
私が立ち止まって振り返ったことに気付いたのか、男も怪訝そうに私を見た。

「…何か?」
「…いや、見知ったような気配を感じたものでな。知り合いにサプレスの者はいるか?」
「サプレス?いいや、心当たりはないな。」
「そうか…ならば気のせいか。」
「召喚獣というのは…同じ世界の者ならばそれほど気配がわかるものなのか?」

その問いに、私は首を振る。

「いや…ただ、今感じた気配が、…そうだな、ニンゲンには余り良くないだろう者の気配だったものでな。」
「…?」

私の言葉に、男は怪訝そうに首を傾げる。

「心当たりがないならば気にするな。すまない、今度はこちらが引き止めてしまったようだ。」
「いや、お互い様さ。」

それでは、と今度こそ私たちは別れた。
またすぐ再会することになるとは思いもせずに。











ギブムモ邸でのバトル前にイオスとぶつかってみた。