気付いたら、あたしは某漫画の某魔女さんと対話をしていた。










Story by which you touched - 導きの魔女 -










ふわふわ、ほわほわ。

なんとも形容し難い、真っ白い空間。

そんなような場所に、あたしは立っていた。

いつから立っていたとか、どうやってここに来たとか、ここは何処だとか疑問も湧きはしたが、すぐに消えた。

正確には、ぶっ飛んだ。

見たことのある人物が、目の前に立っていたからだ。



(ゆ、侑子さんだ―――ッ!)



そう、ツバサやホリックでお馴染みの、次元の魔女こと壱原侑子さんがあたしの前に立っていた。

おかしい、絶対おかしい。

ていうか架空の人物が目の前に居るってどういうこと?



「こんにちは。」

「え、あ、はいっこ、こんにちは!」



急に話しかけられて、どもりながらも返事を返す。

うわわわわっ話しかけられちゃったよ!!

心臓はばくばく言っている中、侑子さん(?)はあたしとは対照的に平然とこっちを見て、にっこりと笑った。

それにへらり、と笑みを返しておく。



「うんうん、可愛いじゃない。私を呼んだだけのことはあるわね。」

「ぅえ?」



妙に満足そうに頷いている侑子さん(?)。

それに間抜けな声で返して、どういうことかと考える。



(あたしが侑子さんを…呼んだ?)



「えと、あの、侑子さん、ですよね?」

「そうよー。」

「次元の魔女、の?」



恐る恐る訊ねたあたしに、侑子さん(これはもう決定だろう)は至極満足そうに頷いた。



「あたしが、侑子さんを呼んだ、って…」

「その前に。」



侑子さんはあたしの言葉を止めるように、あたしの前に手を出した。

あたしが口を閉ざすと、侑子さんはその手を下げる。



「私、貴女の名前を聞いていないわ。私だけ知られているっていうのも不公平じゃない?」

「あ…すいません。あたしはって言います。」

ちゃんね。さっきの質問の答えだけど、貴女が私を呼んだのよ。」

「呼んだ、って言われても…ええと…そう、なんですか…?」

「そうなの。」



そうなの、とか言われて頷かれても、頭は理解していない。

え、なに、つまりどういうことよ―――!?

混乱するあたしに、侑子さんはにっこりと微笑んだ。

なんていうか…にっこりというよりはニヤリ、と言った感じだったけれど。

それに疑問を覚える前に、あたしは再び思考を止めざるを得なくなった。



「ってわけで、いってらっしゃーい♪」

「え?って、うわ、わわわああっ!?」



何故かといえば。

いつの間にか取り出した白いハンカチを振りながら、侑子さんは上機嫌であたしを見送っていたから。

そう、見送っていたのだ。

この白い空間に、それもあたしの丁度真下に出来た穴に吸い込まれていくあたしに向かって。



「え、ちょ、侑子さん!?ていうかあたし代償なんて払ってませんよ!?」

「お代は先に貰ったわよ〜。心配しなくても良いわ♪」

「先に貰った!?貰ったって何を…っぎゃあああああ!!」



急に落下する感覚に耐え切れなくなって、あたしは落下しながら女の子らしからぬ悲鳴を上げた。

そうしてそのすぐ後に、あっさりと意識がブラックアウトしていくのを感じていた。






















だから知らなかった。

落下していくあたしを見て、侑子さんがちょっとだけすまなそうに苦笑していたのを。



「貴女なら…きっと大丈夫よ。」



そう、いつもなら聞けそうにない慈愛に満ちた声で呟いたのを。





















ツバサ〜とうとう、始めてしまった…!
夢主と侑子さんの関係は謎です(笑)
多分近いうちに明らかになりますのでそれまで秘密ということで。


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