もうまもなくミッドガル。
そこでザックスは通りかかったトラックを拾い、乗せてもらった。
そうして、あたしの知っている物語が始まる。




Awaking and escape - 物語の道筋 -



「ミッドガルに着いたら、何する?」

ザックスの言葉に、あたしの心臓がどくんと跳ねた。
記憶にある言葉。
そして、聞こえてくる、あたしにとっては聴き慣れた曲。
ゲームをしていていつも聴いていた、その曲は。
いつもあたしに近づいてくる存在を伝えてくれた。
あたしはそれに気付かないように、ザックスを振り仰ぐ。

「ザックスこそ、何したい?」
「俺か?俺は…そうだなぁ…。なぁ、おっさん!」

ザックスが不意にトラックの運転手に話しかける。

「俺にも出来る仕事って何かねぇかなあ!」
「なーに言ってんだ!若いうちはやろうと思えばなんでも出来る!」
「なんでも…なんでもねぇ…。」

運転手の言葉にザックスはこちらに振り返る。

「そうだ!なんでも屋ってのはどうだ?」
「なんでも屋?」
「そ。依頼料次第でなんでもやるんだ!どうだ、楽しそうだろ?」

きらきらと少年みたいな笑顔でザックスは言う。
その笑顔が眩しく見えて、あたしは目を細めた。

「クラウド、お前はどうする?」
「…あ、…うう…。」

クラウドはザックスの言葉にも反応を返さない。
それでもザックスは笑顔で続ける。

「心配するなって!お前を放ったりなんかしねえよ。な、クラウド。俺達はなんでも屋をやるんだ。わかるか?」

小さい子に言うように、ザックスは優しく言う。

「じゃあ、あたしは会計ー!」
「会計ぃ?」
「ザックスってば浪費家っぽいもん。ねー、クラウドもそう思うよね?」

あたしはそのままクラウドに近づく。
あたしの耳に届く曲は、段々と大きくなってくる。
ザックスはまだ気付かない。
やれやれ、と呆れたような笑みを浮かべて。

「あーもうわかったよ、会計はな。しっかり管理してくれよ?」
「当然!あーあ、早くミッドガルに着かないかなぁ。」

期待と願いを込めて、あたしは言う。
彼らにつかまる前に、ミッドガルに行けるように。
でも、段々と曲は近づいてくる。
曲目は、更に闘う者達。
ザックスは見守るような笑みを浮かべて、再び運転手のほうを振り仰ぎ…―――
勢いよくクラウドの方を見た。
そのときには、あたしはクラウドを引き寄せ、銃弾はトラックを掠める。

ギィンッ!

銃弾が掠めた音に運転手がびっくりしたような悲鳴を上げた。
次いで、ガラスの割れる音と嫌な音、それから急ブレーキ。

キキイイイッ!!

「っおっさん!…くそっ!」

ザックスが運転手を見て、悔しげに舌打ちする。

「ザックス!」
「あとちょっとでミッドガルだってのに…!」

ようやく視界にヘリが見えてきた。
それを確認して、ザックスがクラウドを抱えた。

「逃げるぞ!」

あたしは頷いて、ザックスの後に続いてトラックの荷台から飛び降りる。
その瞬間、今まで居た場所に銃撃の嵐。
これまでだって少しは小競り合いはあったけど、ここまでのものはなかった。
そうまでして、ミッドガルに入れたくないのだろう。

っ!早く来い、引火するぞ!!」

ザックスに言われて、慌ててあたしは車から離れて岩陰に滑り込む。
銃撃音。そして、爆発音と共に熱風が押し寄せる。

「ラッキー♪あいつら自分で俺達を見失ってやがるぜ!」

こんな状況なのにザックスは笑って言う。
そうしてクラウドを抱えたまま、ザックスはあたしを立ち上がらせる。

「行くぞ、。もうすぐミッドガルだ!」
「うんっ」

あたしは頷いて、煙に巻かれてげほごほ言っている神羅兵達を放置してミッドガルの方向にある森に駆け出した。










手元にインターナショナル版がないのでほぼ捏造です…。
次の話は痛くて血まみれな感じです…ひたすら痛い。
夢主が人殺しちゃってても良い方のみ先へお進み下さい。

Back Next